池川明のとっておき胎談!Vol.3 甲田恵子さん

しあわせホルモン、出ていますか?

池川明のとっておき胎談!Vol.3 甲田恵子さん

 

 

池川明が親交のあるキーパーソンと、胎内記憶や育児、気になる出来事について語ります。
第3回目のゲストは、顔見知り同士の子育て頼り合いサービス「AsMama(アズママ)」の代表・甲田恵子さんです。

AsMama設立のきっかけ

池川 こんにちは、今日はよろしくお願いします。

甲田 こちらこそよろしくお願いいたします。

池川 早速ですが、まず甲田さんのご活動を教えていただけますか?


甲田 私は「AsMama(以下アズママ)」という団体の代表をやっています。アズママではお母さんたちを中心にご近所同士で子どもの送迎や託児の頼る・支える、を仕組化したサービス「子育てシェア」を全国で展開しています。
活動としてお母さんたち同士が集まって茶話会みたいなことをすることもあれば、小児科医の先生を呼んで、子育てに関するレクチャーをしたり、企業さんと一緒に生活や子育てに役立つ商品商材を紹介したりするようなイベントを年間1,000回くらい開催しています。

「子育てシェア」という仕組みは顔見知り同士が繋がっておいて、助けて欲しい時に「子どもの送迎を助けてくれる人はいませんか?」などと発信することで、同じマンション、同じ保育園、同じ産院で子どもを産んだ仲良しのお母さんといった、顔を知っている人が、「私、都合つくよ」「私が預かれるよ」と手を挙げた時に依頼できる仕組みです。
SNSで顔も知らないの人が手を挙げてくれるんじゃなくて、自分のことも子どものこともよく知っている人であること、お礼は1時間500円とルール設定していること、そして万一の事故に関しては最高5,000万円の保険が適用されるという仕組みになっています。

本当に周りに友だちがいないという方には、アズママで託児やコミュニケーション研修を受講した認定支援者「ママサポーター」という人たちがいます。ママサポータの約4割は元保育士や元幼稚園の先生で、ほかにも子どもと一緒に活動したいという人たちや、地域の役に立ちたいという人たちなど、ママ業をサポートしたい人たちです。

甲田恵子さん

ですので私みたいに頼り下手で周りにあまり友だちもいない場合は、ママサポーターにお願いしているケースが多いですね。

ベビーシッターにお願いするのとは違って、お友達のお家に行くような感覚で送迎とか託児をお願いできるので、ベビーシッターにお願いするたびに泣いていたような子も、子ども同士が仲良くなるなど、子どもの成長にとっても重要な機会になるんだと思って活動しています。

池川 このサービスを立ち上げた一番のきっかけは何なんですか?

甲田 私自身はものすごいキャリア志向の強いビジネスマンで、子育て支援を仕事にするなんて夢にも思っていなかったです。自分自身も産後からの復職後も躍起になって仕事はしていた感じだったんですね。

そんな中でリーマンショックの翌年、会社都合で退職することになり、ふと世の中を見渡した時「ちょっと助けてくれる人がいたら働けるのに」という人や一方で「誰かの役に立ちたい。それで生きがいや対価が得られたらうれしい」という人がたくさんいることに気付きました。そこで、頼り合いの仕組みができないかなって考えたのが最初でした。

当初は子育てだけじゃなくって、ペットの散歩とか買い物の支援とかいろんなものを項目として入れていたんですけど、活動しているうちに、産後に子育てを頼れないことで、女性が仕事を辞めて家に入り、世帯所得が半分になってしまい、その経済的理由で二人目、三人目が産めないとか、会社を辞めたのはいいけど、辞めてからのほうがストレスレベルが高くなって産後うつや育児うつ、虐待といった子育てに対する悩みが増えるという方が多い事に気付いたんです。

また、ずっとお母さんとだけ一緒となると、社会性とか多様性を身に付ける機会が得られず子どもにとって一番大事な生きる力を育むことにも影響しかねません。このまま産後子育てを頼れない社会が続き、50年後も変わっていなかったら、これは本当にまずいぞと思い始めて、子育てを頼れる、支えられるっていう仕組みをまずは作りたいと思ったんです。

池川 仕組みを作り上げたのが素晴らしいですね。

甲田 まだまだ作り上げたとは言えず、私自身も子どもがもう10歳だったりして、今、乳幼児の子どもを育てるお母さんの感覚と離れかねないので、現役のお母さんやお父さんたちに「この仕組みの使いやすい所はどこ?」「使いにくいところはどこ?」と確認し、週に1度開発を繰り返しています。いつまでも完成しないという感じですね。
子育てについても10年前の私の常識と今の常識とでは違いますから。

池川 時代は早いですからね。 10年前に良いとか常識だとされていたことでも、今はうまくいかない可能性がありますね。子育ても常にバージョンアップしていくのは大事だと思います。
アズママを運営していて大きなトラブルとかありますか?

甲田 活動を始めて7年目になり、北海道から沖縄まで登録者さんは4万人近くになりましたが、実はクレームや大きな事故は一件もないんです。
「頼り合い」は8千件くらいもあるので、問題がないのもおかしいなと思って、こちらから利用者に連絡をして、「何か問題はありませんでしたか?」と聞くと
「子どもが椅子から落ちた」とか「子ども同士がおもちゃの取り合いをした」といったことはあるそうですが、お互いの許容範囲内、という感じなんです。

「この人の子どもだったら預かっても大丈夫」と思う人たちの間で預かり合いをしているので、些細なことは時々あるようですが、大きい怪我はなく、問題視するようなことは起きていません。

池川 なるほど。ご近所同士の昔ながらの頼り合いのようになっているんですね。

甲田 はい。ただ、サービスを活用されている方はいいんですけど、「(子育てシェアには登録しているけど)まだ利用したことがない」という方を含め、今のお母さんたちって周りに頼るのがすごく苦手なんです。「こんなこと聞いたら、ダメなママと思われるんじゃないか」とか、「こんなことをお願いしたら、できないお母さんだと思われるんじゃないか」と考えて頼ろうとしない方のほうが多いですね。

サービスを利用して預けられた子どもは、お友だちのおうちで楽しく過ごしているので、「初めて泣かなかった」「こんなに子どもが喜ぶとは思わなかった」という話はよく聞きます。「子どもを預けるとかわいそうな思いをさせてしまう」と罪悪感を感じるお母さんがとっても多いのですが、知らない人に預けるのではなく、親子ともに安心してみてもらえる人への託児は全然違う、ということを親子で体験してもらいたいです。

一番わかってもらいたいのが、孤軍奮闘してがんばっているお母さんたちに、一人で全部抱え込むのではなくてじゃなくて、困った時は周りの人や専門の知識を持っている人に、「助けて」「教えて」と声をあげることが、自分にとっても子どもにとってもすごく大事だということですね。

池川 そういえば子育てについて、スウェーデンのある保健師さんから聞いた話があります。
欧米では「人を頼っちゃいけない、自分でやるんだ」というように、自立を促して育てるじゃないですか。だからみんな育児で困っても他の人に「助けて」って言えないそうです。

そこでその保健師さんは「困ったら『助けて』って言っていいんだよ」と教えているそうです。やはり育児で煮詰まるらしんですね。日本だけではないようです。

甲田 どの国でも変わらないんですね。

池川先生

池川 アズママのサービスを思うとき、お母さんは1日どれくらい子どもと離れたら、育児が楽になると思われますか?


甲田 私のオススメは3時間なんです。利用者の平均は3.2時間なんですけど、中央値を取ると2時間かもっと長いか、です。
だいたい1時間の打ち合わせとか、1時間の講演とかを終えて、歯医者に行ってなどと考えると2時間ですね。でも2時間の場合は用事が終わったら急いで帰ってこなければならないんです。

これが3時間だと子どもに会いたくなるムズムズ感が発生して迎えに来ること、そして子どもも3時間くらい経つと場慣れしてお母さんのことを少し忘れるくらい遊んでいるということもありますね。

2週間に1回くらいは用事がなくても預けてたほうが、子どもも預かってくれる人たちの感覚を覚えていたり、今日は友だちとあそべる日という感覚になったりして、習慣化しますから良いと思います。